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始めとは?/ ノーローン

[ 197] スタートアップの始め方
[引用サイト]  http://www.aoky.net/articles/paul_graham/start.htm

成功するスタートアップを作るには3つのことが必要になる。優れた人たちと始めること、顧客が実際に欲しがるものを作ること、可能な限りわずかの金しか使わないこと。失敗するスタートアップのほとんどは、これらのうちのどれかをやり損ねたために失敗している。この3つをちゃんとやったスタートアップはたぶん成功するだろう。
そしてこれは、考えてみればわくわくさせられることだ。何しろ3つとも実行可能なことだからだ。困難ではあるが、実行可能だ。そしてスタートアップが成功すれば、創業者は通常金持ちになる。それはつまり金持ちになるということもまた、実行可能ということだ。困難ではあるが、実行可能なのだ。
スタートアップについて伝えたいメッセージが1つあるとしたら、これがそうだ。スタートアップには解決に天才を要するような魔術的で困難な部分というのは何もない。
中でも、スタートアップを始めるときにすごいアイデアは必要ない。スタートアップが収入を得るのは、人々に現在あるのより優れたテクノロジーを提供することによってだ。しかし人々が現在手にしているものは時に相当ひどいものであり、それを改善するのにとりわけすごいことが必要になるわけではない。
たとえばGoogleのプランというのは、単に最低でない検索サイトを作るということだった。彼らは新しいアイデアを3つ持っていた:
Webのより多くの部分をインデックス付けすること、検索結果の順位付けにリンクを使うこと、キーワードに対応した邪魔にならない広告のあるシンプルですっきりしたWebページにすることだ。使えるサイトを作るということに何よりこだわっていた。Googleの内側にはすごい技術的な工夫があるだろうことは間違いないが、しかし全体的なプランということで言えば単純そのものだ。彼らは今ではもっと大きな野望を抱いていることだろうが、この単純なことが年間何十億ドルという収入をもたらしているのだ。[1]
Google以前の検索のように旧態依然としている領域はたくさんある。私はスタートアップのアイデアを生成するヒューリスティクスをいくつか考え出せるが、その多くは1つのことに帰着する。何か人々がやろうとしていることに着目し、それを最低じゃないやり方でする方法を考え出す、ということだ。
たとえば現在の出会い系サイトはGoogle以前の検索より遥かにひどいものだ。それらのサイトはみんな同じ単細胞なモデルを採用している。実世界でのデートがどういうものかという方向からアプローチするのでなく、データベースのマッチングの仕方からアプローチしているように見える。大学生が授業の課題として作ったとしてももっとマシなものができそうだ。しかもそこには多くの金が投資されているのだ。出会い系サービスは現在でも価値あるビジネスとなっているが、それがちゃんと機能するようになれば、何百倍もの価値を持つようになるだろう。
スタートアップにとって、アイデアというのはほんの始まりに過ぎない。スタートアップ創業者になりたいと思っている人の多くは、スタートアップを作るプロセス全体の鍵となるのは最初のアイデアであり、そのあとはただ実行するだけだと思っている。ベンチャーキャピタリストはもう少しものがわかっている。あなたがすばらしいアイデアを手にVCに行って、機密保持契約にサインするならそのアイデアについて話そうと言うなら、VCの多くはとっとと消えろと言うだろう。これは単なるアイデアの価値がどれほどのものかを示している。アイデアの市場価値というのはNDAにサインする面倒よりも低いのだ。
初期のアイデアの価値がどれほど小さいかを示すもう一つの証拠として、途中でプランを変えるスタートアップがいかに多いかということがある。Microsoftの元々のプランは、よりにもよってプログラミング言語を売って儲けるということだった。彼らの現在のビジネスモデルが現れたのは、5年後になってIBMが彼らの目の前にそれを落としてくれたときだ。
スタートアップのアイデアには確かに何某かの価値があるが、問題は、それが伝達可能でないということだ。それはあなたが誰かに実施するようにと手渡せるようなものではないのだ。アイデアに価値があるのは、主として出発点としてだ。疑問を持った人がそれについて考え続けることで価値が生まれる。
重要なのはアイデアではなく、そのアイデアを持っている人々だ。優れた人々はまずいアイデアを修正することができるが、いいアイデアがまずい人々を救うことはできない
これは別な言語に翻訳するのは難しいだろうと思うが、アメリカにいる人ならみんな私の言っている意味がわかると思う。これはその人が自分の仕事を度が過ぎて真剣にやるということだ。自分の仕事をあまりにうまくやり、プロフェッショナルを通り越して強迫的なほどになるということだ。
具体的にどういうことを意味するかは、仕事によって変わる。営業であれば、ノーという答を決して受け取ろうとしないような人だ。ハッカーであれば、コードにバグが残った状態でベッドに行くくらいなら朝の4時まででも起きているような人だ。広報であれば、自分の携帯でニューヨークタイムズの記者に売込みの電話をかけるような人だ。グラフィックデザイナなら、何かがしかるべき位置から2ミリずれていると肉体的苦痛を感じるような人だ。
私たちのところで働いていた人たちはみんな、自分の領域に関してそういう動物だった。営業担当の女性はあまりにしつこく、電話相手の潜在顧客が気の毒になったくらいだ。彼らが針から逃れようともがいているのが感じ取れたが、彼らには契約にサインする以外に道がないだろうことがわかった。
自分の知っている人について考えてみれば、動物テストが簡単に実施できるのがわかるだろう。その人のイメージを思い浮かべ、「なんとかさんは動物だ」という文章を考える。それで笑ったならその人は動物ではない。大企業はこのような資質を必要とせず、欲しいとも思わないかもしれないが、スタートアップでは必要になるのだ。
プログラマについては、追加で行うテストが3つあった。その人は純粋に頭がいいか。そうであるなら、その人は物事を成し遂げるか?
そして最後に、ハッカーの中には我慢しかねる個性を持った人もいるので、一緒にいて耐えられるか、というのがある。
最後の質問で除外される人というのは驚くほど少ない。本当に頭のいい人間であれば、どんなにナード的であろうと私たちは我慢できた。私たちが我慢できなかったのは、態度がばかでかい人間だ。しかしそういう人の多くは本当に頭がいいわけではないので、3番目のテストはある意味で最初のテストを言い換えているに過ぎない。
ナードが我慢しかねる場合というのは、通常彼らが頭を良く見せかけようとあまりに努力しているためだ。しかし頭のいい人ほど、頭が良さそうに振る舞わなきゃいけないというプレッシャーを感じないものだ。だから純粋に頭のいい人というのは、
「知らない」「たぶんあなたの方が正しい」「私はxのことは良く理解していない」というようなことを言える能力によって識別できる。
ただしこのテクニックはいつも機能するとは限らない。人は環境によって影響を受けるものだからだ。MITのコンピュータサイエンス学科には、無愛想な知ったかぶりみたいに振る舞う伝統があるようだ。古典的な航空パイロットの態度がチャック・イェーガーに由来するというのと同じ意味で、彼らの態度はマービン・ミンスキーに由来しているのだという話を聞いた。純粋に頭のいい人たちであっても、所によってそのような振る舞いをするようになることを考慮しておく必要がある。
私たちの元にロバート・モリスがいてくれたのは大いに助けとなったが、彼は私の出会った中で最もやすやすと「わからない」と言える人間だ。(少なくとも彼がMITの教授になる前はそうだった)。ロバートのいるところでは誰も頭が良く見せようとすることはなかった。ロバートが彼らより頭がいいだろうことは明らかであり、そのロバートは頭が良く見せようなどとはまるでしなかったからだ。
他のスタートアップの多くと同様、私たちのスタートアップも友達のグループではじめた。そして私たちが雇った人のほとんども個人的なつてを通して見つけた。これはスタートアップと大企業の決定的に違うところだ。誰かとたとえ2、3日でも友達でいれば、企業が面接で知り得るより多くのことがわかるのだ。[2]
スタートアップがよく大学の近くで生まれるのは偶然ではなく、それは大学が頭のいい人々が出会う場所だからだ。MITやスタンフォードのまわりにテクノロジー企業が現れるのは、人々が大学の授業で学んだことのためではない。入試方法が変わらないなら、彼らが授業中にキャンプファイアして歌っていても結果は一緒だろう。
あなたがスタートアップを始めるなら、大学や大学院で知り合った人と一緒にやる可能性が高いだろう。それなら、理論上は大学では可能な限り多くの頭のいい人たちと友達になるよう努めるべきだということになる。でもそれは違う。意識的に頭のいい人たちと近づきになろうとはしないことだ。ハッカー相手にそれはうまくいかないのだ。
大学でやるべきなのは、自分のプロジェクトに取り組むということだ。ハッカーは別にスタートアップを立ち上げるつもりがなくともそうすべきだ。それがプログラミングを学ぶ唯一本当の方法だからだ。場合によっては他の学生と共同でやってもいい。これは優れたハッカーと知り合う最良の方法だ。そのプロジェクトがスタートアップへと成長することだってあるかもしれない。しかし、もう一度言っておくが、そのどちらも直接の目的とはしないことだ。無理にはやらないこと。ただ自分の好きなことを、好きな人たちとやることだ。
創業者は2人から4人の間が理想的だ。たった1人で始めるというのは難しすぎる。1人で会社を立ち上げることの精神的な負担に耐えるのは困難だ。相当な精神的負担でも耐えられそうに見えるあのビル・ゲイツでさえ、共同創業者を必要としたのだ。しかし会社が集合写真みたいに見えるほどたくさん創業者がいるのも考えものだ。最初はそんなにたくさん人が必要ないということもあるが、もっと大きいのは創業者が多いほど意見の相違がひどくなるということだ。創業者が2人か3人しかいなければ、争いを即座に解決しなければ会社が消えることになる。7人か8人いれば、争いは長引き、派閥ができる。投票なんかしたくないだろう。全員一致する必要があるのだ。
技術的なスタートアップ??スタートアップの大半はそうなのだが??では、創業者に技術的な人間を含めるべきだ。インターネットバブルの間にはビジネスの連中によって立ち上げられたスタートアップがたくさんあって、彼らはハッカーを探して製品を作らせようとした。これはあまりうまく機能しない。ビジネスの連中というのは技術で何をするか決めるのがへたなものであり、それは彼らにはどのような選択肢があるのかわからず、また、どの問題が難しくて、どの問題が簡単なのかわからないためだ。そしてビジネスの連中がハッカーを雇おうとしても、彼らには誰が優れているのか見分けられない。これはハッカー自身にとっても難しいことだが、ビジネスの連中にはルーレットと一緒になる。
これは場合による。私たちは加えようと思って、「ビジネス」というミステリアスなものについて知っていそうな人たち何人かに社長になってくれるように頼んでみた。しかし彼らがみんな断ってきたので、私たちは自分たちだけでやらざるをえなかった。そしてわかったのは、ビジネスというのは大いなる謎でも何でもないということだった。物理学や医学みたいにものすごい勉強を要求されるものではない。ただ人々が自分の商品にお金を払ってくれるかやってみるというだけだ。
私がビジネスをそんなに謎に思っていたのは、ビジネスをやるという考えを嫌っていたためだ。顧客のくだらない問題にかかずらうのではなく、純粋で知的なソフトウェアの世界で働きたいと思っていたのだ。ある種の仕事に引きずり込まれるのを嫌う人は、しばしばその仕事に対する防御的な無能さを発展させる。ポール・エルデシュはこの能力について際立っていた。グレープフルーツを半分に切ることさえできそうに見えず(店に行って買ってくることは言うに及ばない)、そういったことは他の人がしてくれるようにしむけ、自分の時間はすべて数学にあてていたのだ。エルデシュは極端な例だが、多くの夫たちは多かれ少なかれ同じトリックを使っている。
ひとたび防御的無能さを捨てることを余儀なくされると、ビジネスはそんなに難しくもなければ、怖れていたほど退屈なものでもないことがわかった。ビジネスには税法とかデリバティブの価格付けのような極めて難しい難解な部分もあるが、スタートアップではそのようなことを知っている必要はない。スタートアップを運営する上でビジネスについて知っていなければならないことは、ビジネススクールどころか大学に入る前からみんな知っているような常識的なことだけなのだ。
400のリストを見ていて気付くのは、多くの人が技術的なバックグランドを持っているということだ。ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、ラリー・エリソン、マイケル・デル、ジェフ・ベゾス、ゴードン・ムーア。テクノロジービジネスの支配者たちは、ビジネス方面からではなくテクノロジー方面から現れるのだ。だからビジネスで成功する助けになることを学ぶために2年間を投資しようと思っているなら、MBAを取るよりはハックの仕方を学ぶ方がいいことを証拠が示しているのだ。[3]
それでもスタートアップにビジネスの人間を入れたいと思う理由が1つある。顧客が何を求めているのかということに喜んでフォーカスできる人間が少なくとも1人必要なのだ。それができるのはビジネスの人間だけだと思っている人もいる??ハッカーはソフトウェアを実装はできてもデザインはできないというのだ。ナンセンスだ。プログラミングの仕方を知っているということによって、ハッカーがユーザを理解する妨げとなるものは何もない。そしてプログラミングの仕方を知らないことによって、ビジネスの連中が魔法のようにユーザを理解できるようになるわけでもない。
ユーザを理解することができないなら、それを学ぶか、あるいはそれができる共同創業者を見つけることだ。テクノロジースタートアップにとってこれは最も重要な問題であり、他の何よりもスタートアップを沈ませる岩になるのだ。
これを気にかけなければならないのはスタートアップばかりではない。ビジネスが失敗する原因のほとんどは顧客が求めるものを与えないことだと思う。レストランを考えてみよう。多くのものがはじめの四半期の内に失敗する。しかしすごくうまい料理を出すレストランが潰れるなんて考えられる?
うまい料理を出すレストランは繁盛するように見える。うまい料理を出すレストランは、高価だったり、混んでいたり、騒がしかったり、薄汚かったり、へんぴな場所にあったり、サービスが悪かったりしても、お客がやってくる。料理が大したことのないレストランでも、何かの工夫で客を集められるのは事実だ。しかしそういうアプローチはとてもリスクが高い。単にうまい料理を出す方が、ずっと話が早いのだ。
テクノロジーについても同じことが言える。スタートアップが失敗する理由についていろんな話を耳にするだろう。しかしものすごく人気の製品を持ちながら失敗する会社というのは想像できるだろうか?
失敗するスタートアップのほとんどすべてについて言えるのは、本当の問題は顧客がその製品を欲しがってないということなのだ。会社の潰れた理由は多くの場合「資金を使い果たしたため
1を可能な限り早く出すこと」。しかしこれは含めないことにした。これは顧客が欲しがるものを作らないことに含まれるからだ。顧客が欲しがるものを作るための唯一の方法は、彼らの前でプロトタイプを造り、彼らの反応に応じて改良していくということなのだ。
それとは別なアプローチは、私が「ヘイルメアリー」戦略と呼ぶものだ。製品の精巧なプランを造り、それを開発するエンジニアのチームを雇い(このやり方をする人たちはハッカーのことを
「エンジニア」という呼び方をする)、そして一年後に200万ドル費やして誰も欲しがらないようなものを作っていたことに気付くのだ。これはバブルの間には珍しいことではなく、ビジネスタイプの連中が動かしていた会社では特にそうだった。彼らはソフトウェア開発を何か恐ろしいことみたいに考えていて、立ち向かうには細心のプランが必要だと思っていたのだ。
私たちはそのようなアプローチは考えたこともなかった。Lispハッカーである私は、ラピッド・プロトタイピングの伝統から来ている。それがどのようなプログラムを書く場合にでも正しい方法だと言うつもりはないが(少なくともここでは)、スタートアップがソフトウェアを作る場合には間違いなく正しい方法だ。あなたの最初のプランはほぼ間違いなくどこか間違っており、あなたの優先度第一の仕事は、どこが間違っているのか見つけ出すということだ。そしてそのための唯一の方法は、それを実装してみるということなのだ。
他のスタートアップの多くと同様に、私たちも途中で計画を変えた。最初私たちはWebコンサルタントを顧客だと思っていた。しかし彼らが私たちを嫌っていることが分かった。それは私たちのソフトウェアが簡単に使え、おまけに私たちはサイトのホスティングまでしていたからだ。彼らのクライアントはすぐに彼らをクビにするだろう。私たちはまた、たくさんのカタログ会社から契約を取れるだろうと思っていた。オンラインで売るというのは彼らの既存のビジネスの自然な延長になるからだ。しかし1996年当時には強引な売込みがされていた。私たちが話をしたカタログ会社の中間管理職は、Webをチャンスとしてではなく、単に自分たちの仕事を増やすものとして見ていた。
Hollywoodもあり、これはサーバの高負荷を扱う貴重な経験をさせてくれた。しかし私たちのユーザの多くは小さな個人商店で、Webをビジネスを構築するチャンスとみなしていた。リアルの小売店もあったが、多くはオンライン上にしか存在しなかった。それで私たちは方向を変えて、それらのユーザにフォーカスすることにした。Webコンサルタントやカタログ会社がほしがる機能に集中するかわりに、ソフトウェアを使いやすくすることに心を砕いた。
私はそこから貴重なことを学んだ。テクノロジーを使いやすくするということには、ものすごく真剣に取り組む価値のあるということだ。ハッカーはコンピュータを使い慣れており、ソフトウェアが普通の人たちをどれほど怖がらせているか想像もできない。スティーブン・ホーキングの編集者は、本に方程式を1つ入れるごとに本の売り上げが半分になるのだとホーキングに言ったそうだ。テクノロジーを使いやすくすべく働くときには、このカーブを下るかわりに上ることになる。使いやすさの10%の改善は、売り上げを10%増やすわけではない。それは売り上げを2倍にもするのだ。
彼らを観察するのだ。そのための最良の場所の1つはトレードショーだった。トレードショーというのは新規顧客を得る方法としては引き合わないが、マーケットリサーチの方法としては価値がある。私たちはトレードショーに行って決まり切ったプレゼンテーションをしただけではなかった。私たちは人々に本物のちゃんと動くオンラインストアを構築するところを見せた。結果として彼らが私たちのソフトウェアを使うところを目にし、彼らが何を必要としているのか話をすることができた。
あなたのスタートアップがどのようなものであれ、創業者であるあなたがユーザの望むことを理解するには努力が必要だろう。ユーザについて調査することなくあなたに作れるソフトウェアというのは、あなたが典型的なユーザであるようなソフトウェアに限られる。しかしそのようなものはオープンソースとして作られる傾向がある。オペレーティングシステムや、プログラミング言語や、エディタなんかがそうだ。だからもしあなたが金になるテクノロジーを開発しようというなら、あなたはたぶん自分のような人のためのものを開発することにはならないだろう。実際このことはスタートアップのアイデアを出すための方法として使うことができる。
スタートアップについて考えるとき、多くの人はAppleやGoogleのような会社を考える。これらの会社は大きなコンシューマーブランドになっており、誰でも知っている。しかしそういうスタートアップに対して、ニッチマーケットやインフラの世界で静かに生息している会社は20倍もいるのだ。だからそちらの方が成功するスタートアップを作れる可能性は大きい。
言い換えると、大きなコンシューマーブランドになる必要があるようなスタートアップを作ろうとするなら、成功の道は険しくなるということだ。成功の見込みが高いのはニッチマーケットの方だ。スタートアップは人々が以前手にしていたのより良いものを提供することで金を得る。だから一番チャンスがあるのは最も状況がひどいところということになる。そして企業のIT部門以上にひどいところを見つけるのは難しいだろう。あなたは企業がソフトウェアに費やしている金額がどれほどになるか聞いても信じないと思う。そしてそれによって彼らが得ているのはクズだ。このアンバランスが、すなわちチャンスなのだ。
スタートアップのアイデアがほしいなら、あなたにできる最も効果的な方法は、中くらいのサイズの非テクノロジー企業を見つけ、彼らがコンピュータを使って何をしているか2週間ほど観察することだ。優れたハッカーの多くは、金持ちのアメリカ人がブラジルのスラムの有様を知らないのと同様、そういった場所で行われている恐ろしいことについて夢にも知らないものだ。
小さな会社のためのソフトウェアを書くところから始めることだ。彼らの方が売り込むのが容易だからだ。大企業相手にものを売るのは儲けが大きいので、彼らが今使っているクズを売っている人々はそのために膨大な金を使っている。あなたはOracleを技術的に出し抜くことはできたとしても、Oracleのセールスマンを売込みで出し抜くことはできない。だから優れたテクノロジーで勝負するつもりなら、小さな顧客をターゲットにしたほうがいい。[4]
加えて彼らはマーケットにおいて戦略的により価値のある部分なのだ。テクノロジーの世界では、常にローエンドがハイエンドを食っている。安価な製品をより強力にするほうが、強力な製品を安くするよりも簡単なのだ。だから安価でシンプルというところから始めた製品は徐々に強力なものへと成長していき、水が部屋に満ちるように、
WordはInterleafやFrameMakerのようなデスクトップパブリッシングソフトウェアに対してこれを行った。大衆向けデジタルカメラはプロ向けの高価なモデルに対してこれを行っている。Avidは特殊なビデオ編集システムの製造者に対してこれを行い、そしてAppleが今、同じことをAvidに対して行っている。ヘンリー・フォードはそれ以前の自動車メーカーに対してこれを行った。あなたがシンプルで安価な選択肢を提供するなら、最初に売り込むのがより簡単なことがわかるだけでなく、マーケットの残りの部分を征服するのに最適な位置にいることに気付くだろう。
誰かにあなたの下を飛ばせるというのはすごく危険だ。あなたが最安価で、もっとも簡単に使える製品を持っているなら、ローエンドを抑えることができる。しかしそうでないなら、あなたはそれを持つ相手の照準に入っていることになる。
これを実現するには、資金が必要になる。スタートアップによっては自己資金でやっているが??Microsoftが例だ??多くは違う。投資家の金を受け取るのは賢明な選択だと思う。自己資金でやるためには、コンサルティング会社から始める必要があり、そしてコンサルティング会社から製品会社に切り替えるというのは難しいことなのだ。
金銭的には、スタートアップは成績に合格/不合格しかない授業みたいなものだ。スタートアップで金持ちになる方法は、会社の成功のチャンスを最大化することであって、自分が持つ株の量を最大化することではない。だから株を何か成功の見込みを高くするものと交換できるなら、それはおそらく賢明な選択なのだ。
多くのハッカーは、投資を受けることを何か怖いミステリアスなプロセスだと思っている。実際は退屈なものだ。どんな仕組みになっているのか簡単に説明しよう。
最初に必要となるのは、プロトタイプを開発する間の費用の数万ドルだ。これはシードキャピタルと呼ばれている。わずかな金額なので、シードキャピタルを手に入れるのは比較的容易だ??少なくともイエスかノーの答がすぐに得られるという意味で。
通常、シードマネーは「エンジェル」と呼ばれる裕福な個人から得られる。しばしば彼ら自身もテクノロジーで裕福になった人たちだ。シードのステージにおいては、投資家はあなたが詳細なビジネスプランを持っていることを期待していない。彼らは迅速に決断するものとされている。半ページの契約文書だけで1週間以内に小切手が届くことも珍しくはない。
私たちはViawebを、友人のジュリアンからの10,000ドルのシードマネーで始めた。彼は私たちに金以上のものを与えてくれた。彼はかつて会社のCEOをしており、企業弁護士でもあったので、ビジネスについて貴重なアドバイスをたくさんしてくれた。そして会社を立ち上げる上で必要となる法務的なこともすべてやってくれた。加えて彼は次のラウンドの投資を提供した2人のエンジェルのうちの1人を紹介してくれた。
エンジェルの中には、特にテクノロジーのバックグランドを持つ人であれば、あなたがしようとしていることのデモと口頭の説明だけで満足するかもしれない。しかし多くのエンジェルはビジネスプランのコピーを求めるだろう。自分が何に投資したのか思い出すために。
私たちのエンジェルがビジネスプランを求めたとき、今思うとおかしいくらいに私は不安になった。「ビジネスプラン」には「ビジネス」という語が含まれているので、ビジネスに関する本を読まなきゃ書けないものなんだろうなと思っていた。しかしそうではなかった。この時点で投資家の多くが期待するのは、あなたがやろうとしていることと、それでどうやって金を得るのかということについての簡単な説明と、それに創業者の履歴書だけだ。ちょっと腰を据えてあなた方が話し合ったことについて書き出してみれば、それで十分なものが得られる。それには2時間くらいしかかからないだろうし、書いているうちに何をすべきかについてのアイデアがもっと出てくるかもしれない。
エンジェルの小切手の受取人として、あなたは何らかの会社を持つ必要がある。自分で法人組織を作るというだけなら難しいことではない。問題は、会社が存在するためには、創業者を誰にし、それぞれが株をどれだけ持つか決める必要があるということだ。同じような資質を持ち、同じように会社に貢献している2人の創業者がいるというなら、話は簡単だ。しかしたくさんの人がいて、それぞれ貢献しようと思う度合いが異なっているという場合には、株の配分を調整するのは難しい問題となりうる。そしてひとたび決めてしまうと、石に刻んだように動かし難くなってしまうものだ。
この問題に対処するためのうまい方法は私も持っていない。私に言えるのは、それを適切なものにすべく大きな努力を払えということだ。ちゃんとできたか判断するための目安ならある。全員が少しばかり損をしているように感じ、自分の株の取り分よりもっと多くのことをやっていると思っているなら、株は最適に配分されている。
会社を作るためには、もちろん法人手続き以上にやることがある。保険、事業許可、失業手当給付、IRS(アメリカ内国歳入庁)関係の様々なこと。このリストがどんなものになるのかさえ、あまり確信がない。それというのも、私たちはこれをスキップしてしまったからだ。私たちが1996年の末に投資を受けたとき、私たちはすばらしいCFOを雇い、彼が遡ってすべてをきちんとしてくれたのだ。会社を立ち上げるときにすべきことをすべてやらなかったとしても、別に誰かが逮捕しにやってくるわけではないということがわかった。それはいいことなのだ。そうでなければスタートアップの多くは立ち上がっていないだろう。[5]
会社組織にする時期を遅らせるのには危険がある。創業者の中の誰かが袂を分かって同じことをする別な会社を自分で始めようとするかもしれないからだ。これは実際に起きていることだ。だからあなたが会社を設立するときには、株の配分をするときと同様、創業者全員で契約にサインして、みんなのアイデアは会社のものであり、この会社がみんなの唯一の仕事となるということに同意すべきだ。
会社を設立するときにはまた、彼らが他にどんな契約にサインしているか尋ねるべきだ。スタートアップが直面しうる最悪の問題の1つは知的財産上の問題にぶつかることだ。私たちは直面し、それはどんな競合よりも私たちを危機に陥れることになった。
私たちの買収の過程の中程になって、社員の1人が、彼が大学院に行く金を出してくれた大企業に彼のアイデアはすべて属するという契約に縛られていたことがわかった。それは理屈の上では、私たちのソフトウェアの大きな部分が、どこかよそに握られているということを意味した。そのため買収はその問題が解決するまで足止めされることになった。問題は、私たちは買収されようとしているところだったので、少ない手持ちの現金でやりくりしていたということだ。今や進み続けるためにもっと資金を得る必要が生じた。しかし知的所有権の問題が雲のように頭上に漂っているというときに資金を調達するのは困難だった。投資家たちにはそれがどれほど深刻なものか判断できないからだ。
私たちの既存の投資家たちは、私たちが金を必要とし、他のどこからも得られていないことを知っており、この時ある手を打ってきた。その詳細については書かないが、「エンジェル
」という言葉がメタファだということだけ言っておこう。その結果として創業者たちは、サーバの管理の仕方を投資家たちに簡単に説明してから会社を去ることを提案された。そしてこの間に、買収側の会社はこの遅れを口実として逃げ出して行った。
不思議なことに、それがすべて結果的にうまくいった。投資家たちは手を引き、適切な評価額で新たな投資が得られ、あの大企業も最終的には私たちのソフトウェアに対して権利を有しないという内容の書面をよこし、そして6ヶ月の後に、前の買収者が出すと言っていたよりもずっと大きな額でYahooに買収されることになった。だから最後には私たちはハッピーになれたわけだが、この経験で私の寿命は何年か縮んだんじゃないかと思う。
私たちみたいにならないようにすることだ。スタートアップを完成する前に、みんなに以前の知的所有権上の経歴について聞いておくことだ。
ひとたび会社を立ち上げたなら、次は資金調達するわけだが、金持ちの家に行ってドアを叩き、実際のところちょっとしたアイデアを持った野郎どもというに過ぎないものに何万ドルか投資してくれと頼むのは、ちょっとずうずうしく思えるかもしれない。しかし金持ちの立場に立って見れば、もっと勇気づけられるのではないかと思う。裕福な人たちの多くはいい投資先を探しているものだ。成功する見込みがあると自分で本当に思っているのなら、投資させてあげることで、あなたは彼らにいいことをしているのだ。アプローチされて煩わしく感じるのとともに彼らが考えるのは、
通常、エンジェルは金銭的には創業者と同等だ。彼らはある種の株を得、将来の増資で同じだけ薄められる。彼らが受け取るべき株はどれだけだろうか?
それはあなたがどれくらい野心的かによる。あなたが会社のxパーセントをyドルで提示するというとき、会社全体の価値についてある主張をしていることになる。ベンチャー投資は通常この数字を使って言い表されている。10万ドルと引き替えに投資家に発行済み株式の5%を渡すなら、評価額200万ドルで取引したことになる。
合理的な方法というのは存在しない。この段階における会社というのは賭でしかないのだ。私たちが資金調達していたとき、私はそのことを理解していなかった。ジュリアンは私たちが会社を数百万ドルと評価すべきだと考えていた。私はほんの2、3千行のコード??その時点で私たちにあったすべて??に何百万ドルの価値があると主張するなんてばかげていると思った。最後には私たちは100万ドルということにした。ジュリアンがそれより評価額の低い会社には誰も投資しないと言ったからだ。[6]
その当時私がわかっていなかったのは、評価額というのは私たちがそれまでに書いたコードの価値ではないということだ。それは(後に正しいことが示された)私たちのアイデアの価値であり、そして(すごく大きいことが後でわかることになる)私たちが将来に渡ってするすべての仕事の価値なのだ。
投資の次のラウンドでは実際のベンチャーキャピタルと取引することになる。しかし前のラウンドでの投資を使い果たしてしまうまでVCにアプローチするのを待つことはない。VCは決断するのが遅い。それは何ヶ月もかかるかもしれない。VCと交渉している間に資金切れになりたくはないだろう。
実際のVCから金を得るのは、エンジェルから資金を得るのにくらべてずっと大ごとだ。金額は大きく、通常数百万ドルになる。だから取引には時間がかかり、疲弊させられ、より厄介な状況を強いられることになる。
VCはしばしば自分で選んだ新しいCEOを据えようとする。その言い分はビジネスのバックグランドを持った経験を豊かな分別ある人間が必要だということだ。場合によってはそれが正しいこともあるのかもしれない。しかしビル・ゲイツは若くて経験もビジネスのバックグランドも持っていなかったが、うまくやってのけたように思える。そしてスティーブ・ジョブズはというと、経験を積んだ分別ある人間によって自分の会社から蹴り出されることになったのだ。その分別ある人間はその後会社をダメにした。だからビジネスのバックグランドを持つ経験豊かな分別ある人間というのは過大評価されているように思う。私たちはそういう人たちを
「ニュースキャスター」と呼んでいて、それは彼らがきちっとした髪型をして自信を持った深い声で話し、テレプロンプタに出ている以上のことは知らないのが普通だからだ。
私たちはたくさんのVCと話をしたが、結局私たちはエンジェルからの資金だけでやりくりした。その主な理由は、有名VCが契約の一部として押しつけてくるニュースキャスターを怖れていたためだ。プレス向けに話をするというところで満足してくれるならいいのだが、会社の運営について口を突っ込んできたらどうする?
そうなったら悲惨だ。私たちのソフトウェアはすごく複雑なものだったからだ。私たちの会社は優れたテクノロジーで勝つというのが戦略だ。戦略的な決定はほとんどがテクノロジーに関することになる。そしてテクノロジーに関することであれば、私たちは誰の助けも必要としなかった。
これは私たちが公開企業にならなかった理由でもある。1998年にCFOがそうするように私を説得したことがあった。その当時はドッグフードのポータルでさえ株式公開できた時代だ。私たちの会社には本物の製品と本物の収入があったので、公開すればうまくいったかもしれない。しかしそれによってニュースキャスターを引き取ることになるのではないかと私は怖れていた。誰か
そういうトレンドにGoogleが背いているのを見て私は嬉しく思う。彼らはIPOをするときにウォールストリート語を話しはしなかった。そしてウォールストリートは買わなかった。今やウォールストリートは集合的に後悔に暮れている。この次はもっと注意を払うことだろう。ウォールストリートは金がかかわるときには新しい言語を素早く学ぶのだ。
VCと交渉するときには、あなたは自分で思っているよりも利点を持っている。その理由は他のVCだ。私は今ではたくさんのVCを知っているが、彼らと話してみれば、それが売り手市場なことがわかるだろう。今でさえ金が多すぎ、選ぶべきうまい取引は少なすぎるのだ。
VCはピラミッドを形成している。頂点にはセコイアやクライナー・パーキンスのような有名所がいるが、その下にはあなたが聞いたこともないようなたくさんのVCがいる。彼らに共通しているのは、彼らからの1ドルは1ドルの価値だということだ。多くのVCは金を提供するだけでなく、コネとアドバイスを提供すると言うだろう。あなたが話している相手が
ビノド・コースラやジョン・ドーアやマイク・モーリツなら、それは本当だ。しかしそういったコネやアドバイスはすごく高くつくかもしれない。そして食物連鎖を下っていくと、VCは急速にできが悪くなる。トップから何歩か下りるだけで、Wiredを読んで業界用語を覚えたような銀行家を相手にすることになる。(おたくの製品はXMLは使ってるの?)
だから経験やコネについて彼らの言うことは疑ってかかることをお勧めする。基本的にVCは金の出所以外のものではない。私なら一番多くの金を、一番早く、余計な紐なしで提供してくれる所を選ぶ。
VCにどこまで話していいか迷うかもしれない。そして悩むべきなのだ。彼らはいつかあなたの競合に投資するかもしれない。私が考える最善のプランはこうだ。あまりに秘密にはしないこと、しかしすべてを話すのもいけない。いずれにせよ、VCの多くは彼らに興味があるのはアイデアよりも人間の方だと言うだろう。彼らがあなたのアイデアについて話したがる理由は、あなたを判断するためであって、アイデアを判断するためではない。あなたが自分のやっていることをわかっているように見えさえするなら、いくつかのことは彼らから隠しておいてもいい。[7]
たとえ金がほしくない場合でも、可能な限り多くのVCと話すといい。それは(a) 彼らはあなたの会社を買ってくれる企業の重役をしているかもしれず、(b)
あなたが印象的に見えるなら、彼らはあなたの競合に投資する気をなくすだろうからだ。VCに接触するための最も効果的な方法としては、特に自分のことを彼らに知ってもらいたいが別に金がほしいわけではないというのであれば、カンファレンスがいい。カンファレンスというのはしばしばスタートアップがVCにプレゼンする場となることを意図して開かれている。
使わない、というのが答だ。失敗するスタートアップのほとんどすべてについて、失敗の表面的な原因は金を使い果たしてしまうということだ。まあ普通は何かもっと根深い誤りがあるものだが。しかしたとえ表面的な原因であるにせよ、避けるべく精一杯努めるべきだ。
バブルの当時は多くのスタートアップが「早く大きく」なろうとした。理念的には、これは「多くの顧客を早く得る」ことを意味する。しかしこれは容易に「多くの人を早く雇い入れる
しかしGoogleの創業者たちは、検索においてはブランドには何の価値もないということをわかっていた。いつでもやってくることができ、そして何か他よりいいものを作るなら、ユーザは徐々に流れ込んでくる。この点を強調するかのように、Googleはまったく広告をしなかった。彼らはディーラーのように、商品(広告)を売ったが、それを自分で使うほど愚かではなかった。
Googleが葬ってきた競合たちは、その何百万ドルというお金をソフトウェアの改良のために使っていたなら、もっとうまくいっていたかもしれない。未来のスタートアップは彼らの誤りから学ぶべきだ。タバコやウォッカや洗剤のような差別化できない製品のマーケットにいるのでもない限り、ブランドの広告に大金を費やすというのは何かが壊れていることの徴なのだ。そしてWebビジネスにおいては、そんなに差別化できないようなものはほとんどない。現在出会い系サイトが大きな広告キャンペーンを張っているが、それは彼らが腐りかけて取り除くべきことの証拠なのだ。(クンクン、マーケティングの連中が動かしている会社の臭いがするぞ。)
私たちは状況によってゆっくりと成長せざるを得なかったが、振り返ってみれば、それはいいことだったのだ。創業者たちはみんな会社のあらゆる仕事を覚えることになった。ソフトウェアを書くだけでなく、私はセールスやカスタマサポートもする必要があった。私はセールスはあまりうまくはなかった。私は社長ではあったが、いいセールスマンの口先のうまさは持ち合わせていなかった。潜在的な顧客への私のメッセージは、
「おたくがオンラインで売らないとしたら間抜けもいいところだ。そしてオンラインで売るのによそのソフトを使うとしたらおたくは間抜けだ」。どちらの主張も真実ではあったが、それは人を説得するときの仕方ではなかった。
しかし私はカスタマサポートの方はうまかった。カスタマサポートの人間が製品を隅々まで知り尽くしているというだけでなく、バグでもあろうものなら面目なく謝罪し、電話で話しているその場ですぐに修正するというのを想像してみてほしい。顧客は私たちを好きになってくれた。そして私たちは顧客のことを好きになった。口コミの評判でゆっくりと成長しているというときには、最初の一団のユーザたちというのは、自力で見出した目ざとい人たちなのだ。スタートアップの初期において、優れたユーザほど価値のあるものはない。彼らに耳を傾けるなら、勝てる製品をどうすれば作れるか教えてくれるだろう。彼らはそのアドバイスをただでしてくれるだけでなく、お金まで払ってくれるのだ。
私たちが公式にローンチしたのは1996年の始めで、その年の終わりには70ほどのユーザがいた。これは「早く大きくなる」時代のことであり、私は会社が小さくて世に知られていないことを懸念していた。しかし実際には私たちはまさに正しいことをしていたのだった。ひとたび(ユーザの数の上にせよ社員の数の上にせよ)大きくなったなら、製品を変えるのは難しくなる。この年は私たちの製品を改良するための実験の年だったのだ。この年の終わりまでには、私たちは競合よりはるかに先を行っており、彼らに追いつける見込みはなかった。そして私たちのところのハッカーたちはみんな長い時間をユーザと対話することに使っていたので、私たちはオンラインコマースについて誰よりも良く知っていたのだ。
これはスタートアップとして成功するための鍵だ。自分のやっているビジネスがわかっていることほど重要なことはない。誰でもビジネスをやっている人間なら職務上そのビジネスをわかっているものだと思うかもしれない。全然違う。Googleの秘密兵器が何かというと、それは彼らが単に検索がわかっているということなのだ。Googleが現れたとき私はYahooで働いていたが、Yahooには検索がわかっていなかった。なぜそう言えるかというと、私は検索機能を改善すべきだとその筋に説得を試みたことがあって、そうして当時の会社の方針を回答として受け取った。
「Yahooはもはや単なる『検索エンジン』ではない。検索は今では我々のページビューにほんのわずかの割合を占めるにすぎず、月々の成長率にも満たない。我々は今や『メディア企業』(あるいは『ポータル』であれ何であれ)として確立しており、検索機能はへその緒みたいに安全に切り捨てられるものにすぎない」
それはページビューの小さな部分を占めるに過ぎないのかもしれないが、それは重要な部分なのであり、それはWebセッションが始まる部分のページビューだからだ。Yahooも今ではそれがわかっていると思う。
多くのWeb企業がいまだ理解していないことでGoogleが理解していることが他にもいくつかある。中でも一番重要なのは、ユーザを広告主よりも前に置くということだ。金を出しているのが広告主で、ユーザはお金を払っていないのだとしてもだ。私のお気に入りのバンパーステッカーは、
「みんなが引っ張っていけば、リーダーは後からついてくる」というやつだ。これをWeb向けに言い換えると「ユーザをみんな手に入れれば、広告主は後からついてくる」となる。より一般化すると、製品はまずユーザを満足させるようにデザインすることで、そのあとそこからどうやって金を得るか考えればいいということだ。ユーザを最初に置かないなら、そうする競合に差を付けられることになる。
ユーザが好きになるものを作るためには、彼らを理解する必要がある。そしてあなたの会社が大きくなるほど、それは難しくなる。だから私は「ゆっくり大きくなろう」と言おう。資金をゆっくり使うなら、学べる時間は長くなる。
金をゆっくり使うべきもう一つの理由は、安上がりの文化を育むということだ。これはYahooが理解していたことだ。デビッド・ファイロの肩書きは「チーフYahoo」だが、彼は自分の非公式の肩書きが
「チープYahoo」であることを誇りにしていた。私たちがYahooに合流して間もなく、ファイロからメールを受け取った。彼は私たちのディレクトリツリーを見て回って、そんなにたくさんのデータを高価なRAIDドライブに格納しておく必要が本当にあるのかと聞いていた。私はこれには強い印象を受けた。Yahooの時価総額は当時すでに10億ドルのオーダーになっていたが、それでも依然数ギガバイトのディスクスペースの無駄遣いを気にしていたのだ。
VCから何百万ドルか受け取ると、何か金持ちになったような気になるものだ。あなたは金持ちになってはいないことを認識しておくのが重要だ。金持ちの会社というのは大きな収入のある会社だ。VCの金は収入ではない。それはあなたが収益をあげることを期待して投資家がよこしてくれた金だ。だから何百万ドルという金が銀行口座に入っていようと、あなた自身は依然貧乏なのだ。
多くのスタートアップにとって、モデルとすべきは大学院生であって、法律事務所ではない。クールで安価というところを狙い、高価で派手なのは避けることだ。スタートアップがこのことを理解しているか判断する私たちの方法は、彼らがアーロンチェアを使っているか見るということだ。アーロンチェアはバブルの時に現れて、スタートアップの間でとても人気があった。特に当時すごくありふれていたVCの金で賄っているままごとみたいなスタートアップでそうだった。私たちはすごく安物のオフィスチェアを使っており、肘掛けがみんな取れていた。ときにちょっと当惑することもあったが、今思えば私たちのオフィスの大学院のような雰囲気は、私たちがそれと知らずに正しくやっていたもう一つのことだった。
わたしたちのオフィスはハーバードスクウェアの木造3階建ての建物の中にあった。1970年代くらいまでアパートとして使われており、浴室には足のついたバスタブがあった。そこにはすごく変わった人が住んでいたのに違いなく、壁の隙間にはアルミホイルがたくさん詰め込まれていて、宇宙線を防ごうとでもしているようだった。立派な客がやってきたときには、プロダクションバリューの低さを少し気恥ずかしく感じたが、その場所はスタートアップにとっては完璧な空間だった。私たちは自分たちの役回りを、もったいぶった企業人ではなく、生意気な弱者のように感じており、それはまさにあなたが望むだろう精神だ。
アパートというのはまた、ソフトウェアの開発に向いた場所でもある。キュービクルの並ぶ養豚場はソフトウェア開発するには最悪だ。そういう場所で働いたことがあればわかるだろう。職場でより家にいる時の方がどれほど楽にハックできるか気付いたことはない?
スタートアップのための場所を探しているなら、プロフェッショナルらしく見えなきゃいけないとは思わないこと。プロフェッショナルというのはいい仕事を意味するのであって、エレベータやガラスでできた壁を意味するのではない。私はスタートアップの多くに、最初は企業向けの物件を避けてアパートを借りるようにアドバイスしている。スタートアップのオフィスに住みたいと思っているなら、住む場所としてデザインされたところをオフィスにしたらいいんじゃないの?
安くて仕事するのに適しているということの他に、アパートは一般にオフィスビルよりもいい場所にあるということがある。スタートアップにとって場所はすごく重要なのだ。生産性の鍵は、みんなが夕食後に仕事に戻ってこられるということにある。電話が鳴りやむ時間帯が、仕事を成し遂げるための最適な時だ。社員のグループが一緒に食事しに行き、アイデアについて語り合い、オフィスに戻ってきてそれを実装するなら、すごいことが起きる。だから午後6時以降になると人影が見えなくなる荒涼としたオフィスパークなんかではなく、近くにレストランがたくさんあるような場所をいいと思うだろう。どんなに遅くなろうとみんな車で郊外の家に食事に帰っていくようなスタイルに会社がいったん切り替わってしまうと、極めて価値のある何かが失われてしまうのだ。そういう状態から始めることになったのなら、ご愁傷様。
レッドライン線セントラル近くか、ハーバード、あるいはデイビススクウェア(ケンドールは寂しすぎる)、(2) パロアルトのユニバーシティ通りかカリフォルニアアベニュー、(3)
金を使わないために最も重要なことは、人を雇わないということだ。私は極端なのかもしれないが、人を雇うというのは会社がなし得る最悪のことだと思う。第一に、人に対する支出は繰り返し発生する、一番たちの悪い支出だ。彼らはまたオフィスを拡張する原因になり、クールでないオフィスビルに移転する羽目になるかもしれず、それはソフトウェアの質を下げることになる。しかし何よりも悪いのは、彼らはあなたをスローダウンさせるということだ。誰かのオフィスに頭を突っ込んでアイデアについて話すかわりに、8人の人間がそれについてミーティングすることになる。だから人の数は可能な限り少なくした方がいいのだ。
バブルの間多くのスタートアップはその反対のポリシーでやっていた。彼らは可能な限り早く人を増やしたがっていた。誰かその仕事を肩書に持った人間がいないと何もできないとでもいうようだった。これは大企業の発想だ。頭だけで書かれた組織図の隙間を埋めるために人を雇ったりしないことだ。人を雇うべき唯一の場合は、何かやりたいことがあるが、人がいないためにできないというときだ。
不必要な人を雇うのは高くつき、会社をスローダウンさせることになる。ではなぜほとんどすべての会社がそうしているのだろう?
人は自分のためにたくさんの人間が働いているという考えが好きだというのが主な理由ではないかと思う。この弱さは、しばしばCEOにまで広がっている。あなたが会社を運営することになったとき、人があなたに聞く最も一般的な質問は、従業員は何人いるのかというものだ。それが彼らがあなたの重みをはかる方法なのだ。こんな質問をするのは一般の人ばかりではない。レポーターでさえ同じ質問をする。そして彼らは答が10人というのより1000人という方に感心するのだ。
これは本当にばかげている。2つの会社が同じ収益を上げていているなら、より感心すべきなのは社員が少ない方の会社だ。私のスタートアップは社員が何人かと聞かれたとき、私が
「20人」と答えると、大したことないなと彼らが思っているのを感じ取れた。そう言うときは、こう付け加えてやりたくなったものだ。
「しかし我々の主要な競合は、いつもへこましてやってるのだが、社員が140人いる。だから我々には2つの数字の大きい方の価値が認められてもいいんじゃないか?」
オフィススペースとの関係で言うと、社員数は、印象的に見える方を取るか、印象的である方を取るかという選択になる。高校時代にナードだった人なら、この選択の意味がわかると思う。会社を始めるときにもそれを続けることだ。
それではあなたは会社を始めるべきなのだろうか? あなたはそれをやるのに適した人間なのだろうか? そうであるなら、それはやるに値することなのだろうか?
多くの人は、自分でそう思っているよりもスタートアップを始めるのに合っている。それが私がこの文章を書いている理由だ。スタートアップは今の10倍あってもおかしくはなく、そしてそれはおそらくはいいことなのだ。
私は、今ではそうわかっているのだが、まさにスタートアップをやるのに合った人間だった。しかし最初はそういう考えには恐れを抱いていた。そう感じていたのは、私がLispハッカーだったからだ。私がコンサルティングした会社はトラブルを起こしているように見えたし、Lispを使っている会社というのは他にあまりなかった。私は他の言語でプログラミングするという考えには我慢できなかったので(これは1995年のことで、
そしてそれはちょっとありそうにないことに思えた。あなたがLispハッカーなら私の言う意味がわかるだろう。私はスタートアップを始めることにすごく恐れを感じていて、必要に駆られたのでなければやらなかっただろう。私と同じように、やればうまくいくのに、恐れのためにやろうとしない人が多くいるのに違いない。
優れたハッカーで、年齢は23から38の間くらい、伝統的な職業人生を通じて少しずつお金をもらうのでなく、一発でお金の問題を解決してしまいたいと思っている人。
優れたハッカーがどういうものか正確には言うことができない。一流大学あれば、コンピュータサイエンス専攻の学生の上位半分くらいが該当するかもしれない。しかしハッカーになるためにコンピュータサイエンスを専攻する必要はもちろんない。私は大学では哲学専攻だった。
自分が優れたハッカーなのか判断するのはとても難しく、若い時であればなおさらそうだ。幸いなことに、スタートアップを始めるというプロセスが彼らを自動的に選別するようだ。人がスタートアップ立ち上げへと駆り立てられるのは、既存のテクノロジーを見て、
「この連中はxとyとzをやるべきだってことに気付いてないのか?」と考えることによってだ。そしてこれはその人が優れたハッカーである徴でもある。
23歳に下限を設定したのは、それまで脳に生じない何かがあるためではない。自分の会社をやろうとする前に、それがどんなものか既存の会社で見ておく必要があるためだ。その会社はスタートアップである必要はない。私はカレッジローンを返すため1年間あるソフトウェア会社で働いていた。それは私が大人になってからの人生で最悪の1年だったが、自分ではそれと気付かずにソフトウェアビジネスについて貴重な教訓をたくさん学んだ。このときの場合、多くはネガティブなものだったが。ミーティングをあまり多くしないこと。一塊のコードを複数人に共有させないこと。セールス野郎に会社を仕切らせないこと。ハイエンドの製品を作らないこと。コードを大きくしすぎないこと。バグを見つけるのを品質保証の人間に任せておかないこと。リリースの間を開けすぎないこと。開発者をユーザから隔離しないこと。ケンブリッジからルート128に移転しないこと。そういったことだ。[8]  しかしネガティブな教訓はポジティブな教訓同様に価値がある。もっと価値が高いかもしれない。目を見張るようなパフォーマンスを繰り返すのは難しいが、誤りを避けるのは簡単なことだ。[9]
23歳以前に会社を始めるのが難しいもう一つの理由は、他の人に真剣に受け取ってもらえないということだ。VCはあなたを信用しないだろう。そして投資の条件の中で、あなたをただのマスコットに変えようとするだろう。顧客はあなたがいなくなって彼らを置き去りにしないかと懸念するだろう。あなた自身でさえ、よほど特別な人でもない限り、自分の年齢を気にかけ、自分よりずっと年上の人の上司になることを居心地悪く感じるだろう。そして21で自分より若い人しか雇わないとしたら、選択肢は限られることになる。
だからあなたが「僕は彼の言うことなんか気にしないよ。僕は会社を今始めてやるんだ」と考えているなら、あなたはそれをやってのけられる人間なのだろうと思う。
もう一方の期限の38の方にはもっと幅がある。私がこの期限をつけているのは、この年をずっと過ぎた後でも十分な体力を保っている人というのは多くないと思うからだ。私は毎日午前2時か3時まで週7日働いていた。今でも同じことができるか自信がない。
それにまた、スタートアップというのは金銭的にもリスクが大きい。失敗して一文無しになるかもしれないことを26の時にやるというのは別にたいしたことではない。どの道多くの26歳は一文無しなのだ。しかし38歳ともなると、そんなに大きなリスクを引き受けることができないかもしれない??特に子供がいる場合には。
経済的には、それは職業人生を可能な限り小さな部分に押し込めるということだ。40年間まっとうなペースで働き続けるかわりに、狂ったように4年間働くのだ。そして結局全部無駄になるかもしれない??もっともその場合には4年もかからないだろうが。
その間は、仕事以外のことはほとんどやらないだろう。それはあなたが働いていない時にも、競合の方は働いているからだ。私が余暇にしたのはランニングくらいだった。これは働き続けるためにやる必要があったことだ。それと15分ほどの夜の読書。その3年の間で、ガールフレンドがいたのは2ヶ月だけだ。2週間に1度、中古書店で何時間か過ごすか、友達の家に夕食に行った。両親の元には2度帰った。それ以外は、ただ働いていた。
働くのは時に楽しくもあり、それは一緒に働いていたのが親友たちだったからだ。仕事はしばしば技術的に興味深くもあった。しかしそれは10%くらいの時間だけだ。あとの90%については、後から思えば当時思っていたよりはおかしく思えることもあると言うのがせいぜいだ。たとえばケンブリッジで6時間の停電があり、ガソリンを使う発電機をオフィスの中で使おうとするという誤りを犯したときのような。あれは二度とやらない。
スタートアップで対処しなければならないクソッタレなことの量は、通常の職業人生において耐えなければならないものより多いとは思わない。実際は少ないんじゃないかと思う。多く見えるのは、短い期間に押し込められているからだ。だからスタートアップがあなたに得させてくれるものは時間なのだ。スタートアップを始めようか悩んでいるなら、そんな風に考えてみるといい。給料をもらって40年間働くよりも、金銭の問題を一発で解決したいと思うタイプなら、スタートアップを始めるのには意味がある。
多くの人が悩むのはスタートアップにするか大学院にするかということだろう。大学院の学生というのは、ソフトウェアスタートアップを始めるのに適した年齢、適したタイプの人間だ。アカデミックな職のチャンスを失うことを心配しているかもしれない。しかしスタートアップに属しながら大学院に行くことも可能だ。特に最初のうちは。私たちの会社に最初からいた3人のハッカーのうちの2人はずっと大学院に籍を置いていて、どちらも学位を取った。大学に居座っている大学院生みたいに強力なエネルギー源というのはそんなにはないものだ。
大学院を離れなければならないとしても、それは最悪の場合でもそう長いことにはならない。スタートアップが失敗するときには、ごく短期間に失敗するだろうから、アカデミックな人生にすぐに戻ることができる。そしてもしスタートアップが成功したなら、助教授になりたいという欲求はもはやあまり感じなくなっているだろう。
もしスタートアップをやりたいと思うなら、やってみることだ。スタートアップを始めるのは外からそう見えるほどすごいミステリーでもなんでもない。そのために「ビジネス
」について知っている必要もない。何かユーザが好きになるものを作り、支出を収入より少なくすること。そんなに難しいことかい?
スタートアップが既存の企業に対して持つアドバンテージの一つは、会社を始めるときには差別禁止法が適用されないということだ。たとえば、小さな子供がいるか、近々子供ができそうな女性といっしょにスタートアップを始めるのは気が進まないかもしれない。あなたは採用面接で近く子供を作る予定はありますかと聞くことはできない。信じるかどうかわからないが、アメリカの法律では、知能に基づいて差別することすら禁じられているのだ。しかし会社を始めるに当たって誰と一緒にやるか決めるときには、どんな基準に基づいて差別することもできる。
この系として、最大の企業としての政府にものを売るスタートアップは避ける、というのがある。まあ、政府にテクノロジーを売るというのには多くのチャンスがあるのは確かだが、そういう会社を始めるのは別な人に任せておくことだ。
ドイツで会社を始めた友人が言っていたのだが、ドイツではペーパーワークに気を使う必要があり、それがすごくたくさんあるということだ。これはドイツにスタートアップが少ない理由になっていると思う。
[6]シードステージにおける私たちの評価額は原理的には10万ドルだった。ジュリアンが会社の10%を持っていたからだ。しかしこの数字はすごくミスリーディングだと思う。金はジュリアンが私たちに与えてくれた中で一番小さなものだったからだ。
同じことはあなたの会社を買収したがっている会社についても言える。中にはあなたのアイデアを知るために買収したい振りをするところだってある。あなたにはどれがそうなのかは決してわからないので、最適なアプローチはまったくオープンであるように見せつつ、技術的に重要な秘密のいくつかを言い忘れるというものだ。
[8] そこが会社にまずい場所であるのと同じくらいに、私はまずい社員だった。私と働く羽目になったみんなにここで謝りたい。
このエッセイの原稿に目を通してくれたトレバー・ブラックウェル、サラ・ハーリン、ジェシカ・リビングストン、ロバート・モリスと、講演に招待してくれたスティーブ・メレンデス、グレゴリー・プライスに感謝する。

 

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