混とんとは?/ ディック
[ 453] Itaniumプロセッサの行方は混とんかバラ色か? − @IT
[引用サイト] http://www.atmarkit.co.jp/fsys/kaisetsu/071itanium2006/itanium2006.html
これに対しIntelなどは、出荷台数では圧倒的にx86プロセッサが多いものの、出荷金額を比較するとハイエンド・サーバと同等で、ハイエンド・サーバは無視できない市場であり、IPFの撤退はないとしている。ハイエンド・サーバ市場は、わずかな出荷台数でも大きな売上げを見込め、利益率も高い。またこの領域では、サーバ本体だけでなく、ストレージやソフトウェア、サポートまで含めたソリューションとして販売されることが多いため、全体としてはさらに売上げと利益の積み上げを期待できる。一般にこれらのサービス販売は、サーバ本体よりもさらに利益率が高いため、サーバ・ベンダに大きな利益をもたらすといううまみがある。 ガートナー データクエストの調査結果でも、日本のサーバ市場、世界のサーバ市場ともに、デル/Dellは出荷台数では高いシェアを持ちながら、出荷金額となると上位のベンダに大きく水を明けられている(出荷金額は利益と直接的に連動するわけではないので、これはDellの利益率が低いという結論にはならない)。さらに上述のようにハイエンド・サーバ市場では、周辺機器やアプリケーション、ソフトウェア開発、サポートなど多くの付随するビジネスが存在することを考えると、魅力的な市場である。これらを自社ならびに関連企業でこなすハイエンド・サーバ・ベンダにとっては、「おいしい」商売なのは間違いないだろう。 しかしハイエンド・サーバ市場においても価格の下げ圧力は強く、これまでのように独自プロセッサ、独自UNIX、独自アプリケーションなどの高コスト体質では、コスト競争に勝てなくなってきている。そこにIPFという共通プラットフォームが登場したことで、各種アプリケーション・フレームワークやミドルウェアなど、独自開発よりも安価に利用できる汎用パッケージをベースとして使い、その上でビジネス・システムの鍵となるビジネス・ロジック開発や、高度なノウハウが必要なSOA(Service Oriented Architecture)の実現など、独自の付加価値により他社と差別化するという戦略が可能になった。独自プロセッサに対する開発コスト/製造コストも削減できる。一方でチップセットなどはメインフレームで培ってきたノウハウを生かして独自開発し、ミッションクリティカル・サーバとしての信頼性を実現することで他社と差別化している。IPFを活用することで、コストを引き下げながら、これまでと同様、高い収益性を保つことが可能になるわけだ。主にメインフレーマが、IPFに乗った理由はこのあたりにある。 一方、Dellを始めクライアントPCからサーバ市場に参入してきたベンダは、IPFに対して否定的な態度を取っている。当初、IntelはIPFを将来のサーバ向けプロセッサの主流と位置付けていた。そのため、DellなどもIPFに対して興味を持っていたようだが、Intelがその後に方針を転換し、RISC対抗のハイエンド・サーバ向けとしたため、現在これらのベンダは、科学技術計算向けなどにIPFサーバを提供しているにすぎない。前述のように現時点のIPFの魅力は、独自アプリケーションを含むソリューションを提供できるサーバ・ベンダほど大きい。場合によっては、顧客企業向けにOSの改変まで行ってサポートする、というのがこの市場だ。Dellのように、自社/関連会社にシステム・インテグレーション機能を持たないベンダにとっては、市場構造が異なり参入が難しいことが分かる。 ただDellなどの汎用PCベンダも、コストパフォーマンスの高いx86サーバをクラスタリングするなどして大幅な性能向上を図ることで、ハイエンド・サーバ市場を奪うことが可能だと考えている。PCは、そのコストパフォーマンスの高さから、RISC/UNIXが一般的であったワークステーション市場を完全に奪ったという実績がある。現在のサーバ市場でも、ミドルレンジ・クラスまでは圧倒的にx86サーバの独壇場である。やがてハイエンド・サーバ市場においても、x86サーバがそのコストパフォーマンスの高さと、豊富なアプリケーションを背景に席巻する可能性があるというのがこれらのベンダの考えだ。 しかしここで気を付けなければいけないのは、ハイエンド・サーバの出荷金額は伸びており、上位クラスはむしろ出荷台数が伸びているということだ。これは、RFIDのデータ管理などの大規模データベース向け、電子商取引などのミッションクリティカル向け、コンピュータ・シミュレーションを活用した製品設計支援などの科学計算向けなど、ハイエンド・サーバ市場が拡大しているためである。特にミッションクリティカル向けといった高い信頼性が求められる用途では、メインフレームの技術を継ぐハイエンド・サーバが強く、電子商取引やネット証券、ネットバンクなどの伸びから需要が増えている。 つまり、IPFサーバのターゲット市場であるハイエンド・サーバ市場は、下位はx86サーバに侵食されるものの、上位は市場の拡大により出荷台数/金額ともに伸びているということだ。x86サーバにかなわない高い信頼性と性能を維持し続けられれば、この市場はいぜんとしてハイエンド・サーバによって維持されると思われる。ハイエンド・サーバ全体の出荷台数は減少していっても、上位の出荷比率が高まることで出荷金額という面ではむしろ拡大する可能性さえある。このような見方をするならば、IPFはハイエンド・サーバ市場で確固たる地位を築くことで、十分に生き残れるはずだ。しかし、そのためにはライバルとなるSPARC/POWERだけでなく、x86プロセッサに対しても高い性能と信頼性を維持することが条件となる。 |
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