におけるとは?/ プロミス
[ 594] 研究費の不正対策検討会 研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)−文部科学省
[引用サイト] http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/008/houkoku/07020815.htm
本ガイドラインは、文部科学省又は文部科学省が所管する独立行政法人から配分される、競争的資金を中心とした公募型の研究資金(以下、「競争的資金等」という。具体的な制度は別紙のとおり。なお、新設・廃止等により、対象となる制度に変更があった場合は、その都度公表する。)について、配分先すべての機関においてそれらを適正に管理するために必要な事項を示したものである。第1節から第6節においては、それぞれの研究機関が実施するべき課題をテーマ別に記述し、第7節においては、それらの課題の実施状況評価をめぐって文部科学省がとるべき方策等を記す。 第1に、競争的資金等には研究機関に交付されるものと個々の研究者の研究遂行のためのものがあるが、個人への補助の性格を有するものであっても、その原資が国民の税金である以上、国民の信頼に応えるため、競争的資金等の管理は研究機関の責任において行うべきである、というこれまでの原則を一層徹底することが適当である。 第2に、競争的資金の管理を委ねられた機関の責任者は、研究費の不正な使用が行われる可能性が常にあるという前提の下で、不正を誘発する要因を除去し、抑止機能のあるような環境・体制の構築を図らなくてはならない。 研究機関は、その性格や規模において極めて多様であり、管理の具体的な方法について一律の基準を強制することはかえって実務上の非効率を招き、研究機関の研究遂行能力を低下させる危険性が高い。本ガイドラインは、大綱的性格のものであって、具体的にどのような制度を構築するかは、個々の研究機関の判断に委ねられている。各研究機関において、組織の長の責任とリーダーシップの下、構成員である研究者と事務職員が自律的に関与して、留意事項を参照しつつ、それぞれの研究機関にふさわしい、より現実的で実効性のある制度を構築することが求められる。 なお、文部科学省又は文部科学省が所管する独立行政法人から競争的資金等の配分を受ける限り、企業、財団法人、NPO、外国の研究機関等も本ガイドラインの適用対象となる。ただし、小規模な企業、財団法人又はNPO、あるいは我が国の原則を強制することが無理な外国の研究機関等、ガイドラインに掲げたすべての項目を実施することが困難な団体については、資金配分機関においてチェックを強化するなどの措置によって代替する場合がある。また、企業等において、会社法に基づく内部統制システムの整備の一環等として、規程等がすでに設けられている場合はこれを準用することを可能とする。 また、別添として幾つかの実施事項の例を挙げているが、これらは多様であり得る制度構想の選択肢の一部として参考までに挙げているものであり、各研究機関がこの例の通りに実施することを求めるものではない。なお、本ガイドライン自体も、今後の運用を通じて、研究機関の実態により即した、より現実的かつ実効性のあるものになるよう見直しを行っていくこととする。 競争的資金等の運営・管理を適正に行うためには、運営・管理に関わる者の責任と権限の体系を明確化し、機関内外に公表することが必要である。 機関内の各部局等(例えば、大学の学部、附属の研究所等、一定の独立した事務機能を備えた組織)における競争的資金等の運営・管理について実質的な責任と権限を持つ者(以下、「部局責任者」という。)を定め、その職名を公開する。 最高管理責任者は、統括管理責任者及び部局責任者が責任を持って競争的資金等の運営・管理が行えるよう、適切にリーダーシップを発揮しなければならない。 各機関において適当と判断する場合は、部局等単位で責任の範囲を区分したり、対象となる資金制度によって責任の範囲を区分することができる。その場合は責任の範囲があいまいにならないよう、より明確に規定する。 最高管理責任者は、研究費の不正な使用(以下、「不正」という。)が行われる可能性が常にあるという前提の下で、不正を誘発する要因を除去し、十分な抑止機能を備えた環境・体制の構築を図らなくてはならない。 競争的資金等に係る事務処理手続きに関するルールについて、以下の観点から見直しを行い、明確かつ統一的な運用を図る。 すべての研究者及び事務職員にとって分かりやすいようにルールを明確に定め、ルールと運用の実態が乖離していないか、適切なチェック体制が保持できるか等の観点から常に見直しを行う。 機関としてルールの統一を図る。ただし、研究分野の特性の違い等、合理的な理由がある場合には、機関全体として検討の上、複数の類型を設けることも可能とする。また、ルールの解釈についても部局間で統一的運用を図る。 事務処理手続きに関する機関内外からの相談を受け付ける窓口を設置し、効率的な研究遂行を適切に支援する仕組みを設ける。 機関内ルールの策定に当たっては、慣例にとらわれることなく、実態を踏まえ業務が最も効率的かつ公正に遂行できるものとする。 ルールの例外的な処理は、ルールと実態の乖離を招く恐れが強いことから、極力これを認めない。やむをえず認める必要がある場合については、例外処理の指針を定め、手続きを明確化して行うものとする。また、例外的処理を認めたケースについて先例集を作成して周知させるなど、実務が放恣に流れないよう最大限の努力を惜しんではならない。 競争的資金等の事務処理に関する研究者と事務職員の権限と責任について、機関内で合意を形成し、明確に定めて理解を共有する。 不正を防止するためには、適切なチェックが必要であることについて研究者の理解を促進し、現場でのチェックが適切に行われる体制を構築することが重要である。 業務の実態が変化しているにもかかわらず、職務分掌規程等が改定されないまま実態と乖離して空文化し、責任の所在があいまいになっていないかという観点から必要に応じ適切に見直す。 決裁が形式的なものでなく責任の所在を反映した実効性のあるものとなるよう、決裁手続きを簡素化する。その際、決裁者の責任を明確にするためにも、決裁者の人数を少人数に絞ることが望ましい。 研究者個人の発意で提案され採択された研究課題であっても、研究費は公的資金によるものであり、機関による管理が必要であるという原則とその精神を研究者に浸透させる。 事務職員は専門的能力をもって公的資金の適正な執行を確保しつつ、効率的な研究遂行を目指した事務を担う立場にあるとの認識を機関内に浸透させる。 不正の発生の背景には個人のモラルの問題だけでなく、組織による取り組みの不十分さという問題があるという認識を徹底させる。 不正発生を根絶するには、研究者、研究者コミュニティの自己決定によるルールと体制作りが前提であり、それに従うことが研究者倫理であるという意識を浸透させる。 不正の問題は、機関全体、さらには広く研究活動に携わるすべての者に深刻な影響を及ぼすものであることを、研究者は十分に認識しなければならない。 事務職員は、研究を行う上で必要な事柄については、ルールに照らし実現可能であるか柔軟に検討するとともに、検討結果につきできるだけ早く研究者に適切な説明を行うことが求められる。なお、柔軟な検討については、本節(1)に述べたことに充分留意することが必要である。 部局責任者等、研究現場における組織風土の形成に直接責任のある者は、会議等の運営に当たり、研究者と事務職員の相互理解を促進させるよう配慮する。 事務職員のキャリアパスが、専門性を高められるものとなるよう配慮する。また、機関として専門性の高い人材の育成に取り組む。 行動規範の内容は、研究者や事務職員の問題意識を反映させたものとする。研究者や事務職員の意識向上のため、現場で問題となりうる具体的な事項や実務上必要な内容を優先順位を付けて記載し、個々の事象への対応ではなく、機関の職員としての取り組みの指針を明記するものとする。 不正に関する調査や懲戒に関する規程等については、不公平な取扱いがなされたり、その疑いを抱かれたりすることのないように、明確な規程とするとともに適用手続きの透明性を確保する。 不正を発生させる要因を把握し、具体的な不正防止対応計画を策定・実施することにより、関係者の自主的な取り組みを喚起し、不正の発生を防止することが必要である。 取引に対するチェックが不十分になっていないか。例えば、研究者と事務職員の間の意思疎通が円滑でないことなどにより、事務職員から研究者に取引状況の確認が行いにくい状況がないか。又は、研究者と取引業者の間が密接になり過ぎており、チェックがかけにくい状況になっていないか。 具体的な要因を把握するに当たっては、組織全体の幅広い関係者の協力を求め、実際に不正が発生する危険性が常にどこにでもあることを認識させ、自発的な改善の取り組みを促す。 不正を発生させる要因に対する不正防止計画は、優先的に取り組むべき事項を中心に、明確なものとするとともに、定期的に見直しを行うことが必要である。 不正防止計画の策定に当たっては、経理的な側面のみならず、ルール違反防止のためのシステムや業務の有効性、効率性といった側面についても検討する。 不正防止計画への取り組みに部局等によるばらつきが生じないよう機関全体の観点からのモニタリングを行う。 最高管理責任者が率先して対応することを機関内外に表明するとともに、自ら不正防止計画の進捗管理に努めるものとする。 防止計画推進部署は、最高管理責任者の直属として設置するなどにより、機関全体を取りまとめることができるものとする。なお、機関の規模によっては既存の部署を充て、又は既存の部署の職員が兼務することとしても差し支えない。 防止計画推進部署は機関の内部監査部門とは別に設置し、密接な連絡を保ちつつも内部監査部門からのチェックが働くようにすることが望ましい。 不正防止計画の着実な実施は、最高管理責任者の責任であり、実際に不正が発生した場合には、最高管理責任者の対応が問われることとなる。 部局等は、機関全体で不正が生じにくいように、防止計画推進部署と協力しつつ、主体的に不正防止計画を実施する。 第3節で策定した不正防止計画を踏まえ、適正な予算執行を行う。業者との癒着の発生を防止するとともに、不正につながりうる問題が捉えられるよう、他者からの実効性のあるチェックが効くシステムを作って管理することが必要である。 予算の執行状況を検証し、実態と合ったものになっているか確認する。予算執行が当初計画に比較して著しく遅れている場合は、研究計画の遂行に問題がないか確認し、問題があれば改善策を講じる。 不正な取引は研究者と業者の関係が緊密な状況で発生しがちであることにかんがみ、癒着を防止する対策を講じる。 納品検収及び非常勤雇用者の勤務状況確認等の研究費管理体制の整備について、機関の取り組み方針として明確に定める。 予算執行が年度末に集中するような場合は、執行に何らかの問題がある可能性があることに留意し、事務職員は必要に応じて研究者に対して執行の遅れの理由を確認するとともに必要な場合は改善を求める。 物品調達に係るチェックシステムは、不正の防止と研究の円滑かつ効率的な遂行を両立させるよう配慮し、調達業務全体の枠組みの中で検討する。 書面によるチェックを行う場合であっても、形式的な書類の照合ではなく、業務の実態を把握するように実施する。 発注業務を柔軟にすることを目的として一定金額以下のものについて研究者による直接の発注を認める場合であっても、従来の慣行に関わらず、発注の記録方法や発注可能な金額の範囲等について、機関として可能な限り統一を図る。 物品調達について事務部門による検収を実施することが実務上困難な場合においても、発注者の影響を排除した実質的なチェックが行われるようにしなければならない。 研究費の執行が当初計画より遅れる場合等においては、繰越明許制度の積極的活用等、ルールそのものが内蔵する弾力性を利用した対応を行う。 ルールに関する理解を機関内の関係者に浸透させること、機関の内外からの情報が適切に伝達される体制を構築することが、競争的資金等の運営・管理を適切に行うための重要な前提条件となる。 研究者及び事務職員が機関の定めている行動規範や競争的資金等のルールをどの程度理解しているか確認する。 機関内部及び取引業者等、外部からの通報の取扱いに関し、通報者の保護を徹底するとともに、保護の内容を通報者に周知する。 行動規範や競争的資金等のルールの理解度の調査においては、ルールの形骸化やルールを遵守できない事情等がないか把握するよう努め、問題点が発見された場合には、最高管理責任者のリーダーシップの下、適切な組織(コンプライアンス室、監査室等)が問題の解決に当たる。 民間企業等において、企業活動上、社内規程等を外部に公表することが困難な場合は、資金配分機関への報告をもって公表に代えることができる。 不正の発生の可能性を最小にすることを目指し、機関全体の視点から実効性のあるモニタリング体制を整備することが重要である。 内部監査部門を強化するため、高い専門性を備え、機関の運営を全体的な視点から考察できる人材を配置する。 内部監査は、機関全体のモニタリングが有効に機能する体制となっているか否かを確認・検証するなど、機関全体の見地に立った検証機能を果たすことが重要である。調達業務を例にとると、発注・検収・支払いの現場におけるチェック及び防止計画推進部署によるそれらのモニタリングがともに機能しているか否かを内部監査により確認する。また内部監査には、ルールそのものにも改善すべきことがないか検証することが期待されている。 監事及び会計監査人と内部監査部門が、それぞれの意見形成に相互に影響を及ぼすことを避けつつ、機関内の不正発生要因や監査の重点項目について情報や意見の交換を行い、効率的・効果的かつ多角的な監査を実施できるようにする。 内部監査部門は、コンプライアンス委員会や外部からの相談窓口等、機関内のあらゆる組織と連携し、監査の効果を発揮できるようにする。 内部監査の実施に当たっては、把握された不正発生要因に応じて、監査計画を随時見直し効率化・適正化を図る。 文部科学省及び文部科学省が所管する資金配分機関である独立行政法人(以下、「文部科学省等」という。)は、研究機関が第1節から第6節に記載した課題を実施する状況について、次のように確認、評価及び対応を行う。 文部科学省等は、資金配分先の研究機関においても研究費が適切に使用・管理されるよう所要の対応を行う責務を負っている。文部科学省等は、研究機関における管理体制について、ガイドラインの実施状況を把握し、所要の改善を促す。 有識者による検討の場を設け、ガイドラインの実施等に関してフォローアップするとともに、必要に応じてガイドラインの見直し等を行う。 文部科学省等は、研究機関側の自発的な対応を促す形で指導等を行う。管理体制の改善に向けた指導や是正措置については、緊急の措置が必要な場合等を除き、研究活動の遂行に及ぼす影響を勘案した上で、段階的に実施する。 従来も資金配分機関により額の確定現地調査やその他の確認が個別の競争的資金等で行われている。文部科学省等はそれらの手段を有効に組み合わせて、研究者及び研究機関の負担を可能な限り増やさずに効率的・効果的な検証を行うよう努める。 研究機関が不正を抑止するために合理的に見て十分な体制整備を図っている場合には、文部科学省等は、構成員個人による意図的かつ計画的な不正が発生したことをもって、直ちに機関の責任を問うものではない。 研究機関の問題は、個別の部局にある場合もあるが、部局も含めた体制整備の責任は、機関の長にある。したがって、体制整備の問題に関する評価、及び評価結果に基づき行われる是正措置の対象は原則として機関全体とする。 文部科学省は、の報告書を基にガイドラインの「全機関に実施を要請する事項」の内容との整合性について確認を行う。なお、文部科学省は、確認に当たり必要に応じて資金配分機関と協議する。 文部科学省等は、の報告書に基づく確認以外に、資金配分額の多い機関を中心にサンプリング等により対象を選定して現地調査を行い、体制整備等の実態把握を行う。 文部科学省等は、の確認やの調査の結果、機関の体制整備等の状況について問題を認める場合には、当該機関に対して問題点を指摘するとともに、問題点の事例を機関名を伏して各機関に通知し、注意を促す。 文部科学省等は、改善計画を履行していないなど、体制整備等の問題が解消されないと判断する場合、有識者による検討の結果を踏まえて、当該機関に対して必要に応じて次のような是正措置を講じる。なお、是正措置の検討に当たっては、機関からの弁明の機会を設けるものとする。 改善項目の指摘に関する判断基準(チェックリスト)を、対象となる機関の多様性を踏まえつつ作成し、公表しておく。 機関はガイドラインに基づく体制整備等に速やかに着手し、実現可能なものから実施に移した上で、平成20年度の競争的資金等に係る申請時点から取り組み状況について報告を提出する。 評価、改善指導や是正措置は基本的に機関全体に対して行われるべきであるが、具体的な問題点を把握するため、いくつかの部局を選び、現地調査を実施し、機関全体の体制整備等の状況について評価する際の判断材料とする。 不正事案が発生した場合、文部科学省等は、当該機関から追加の情報提供を求め、現地調査を実施するなどにより、不正に関与した者の責任とは別に、体制整備等の問題について調査を行い、その結果に基づき、上記からまでの対応を行う。 |
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